吉野本葛の原料「クズ」
吉野本葛の原料となるのは、山野に自生している「クズ」という植物の根っこです。
「クズ」は豆科の多年生つる草で、秋には紫紅色の花を咲かせます。花は秋の七草にも数えられ、その美しさを愛でられてきました。クズの花は藤によく似ていますが、藤が垂れ下がるのに対して、クズの花は上向きに咲きます。香りも藤と似ており、9月ごろになって花が咲くと、周辺いったいはクズの甘い香りで満ち溢れます。
また、葛の花は「葛花(かっか)」として漢方薬にも用いられており、二日酔いなどに効果があるといわれています。
葛湯とは(葛の花)
クズは日本中どこに行ってもよく見られる植物で、山中はもちろん、高速道路や堤防にも生えています。
電柱に絡みついたり、フェンスをはっていたり…。
雑木林などでは周辺の木に、絡み付いて上へ上へと伸びていきますが、登るものがない原っぱや堤防などではどこまでも地面をはって広がっていきます。
葛のツルはどこまでも伸びていくのです。

葛湯とは(くず)

クズの葉は3つに分かれており、大きい葉は人間の顔より大きくなります。
水分の蒸発を防ぐために、気候に合わせて表や裏にと葉を動かして調節をすることができます。
クズの葉の裏が白く、表が青いことからか、裏に表にと返る様子からか、「うらみ葛の葉」と称され、恨みの歌も詠まれたそうです。
葛の葉の恨みに帰る夢の世を 忘れかたみの野辺の秋風花の後には鞘が出来ます。これを見ると確かにクズがマメ科の植物であるということがよくわかります。
葛湯とは(葛の鞘)
クズが枯れ落ちたら、吉野本葛を作る為に堀子さんがクズの根を掘り、春になればまた残された根から新芽が出てきます。
クズは生命力が強く、成長の速い植物。このたくましさをいいただいているので、吉野本葛は昔から滋養食として利用されてきたのだと思います。