葛の話シリーズ第四話

 

葛と健康(四)

 

韓国の葛水

 

 

韓国では、昔からクズの生根の汁液を飲用する習慣がある。直径一〇数センチメートルのクズの根を厚さ七~八センチメートルに輪切りにして、圧搾器にかけて押し漬し、コップで汁液を受けて飲む。夏になって、搾りたてのクズ汁液を飲ませる屋台店が街頭に出ると、宿酔気味のサラリーマンが、そこで一杯ひっかけて勤め先に向かう光景をしばしば目にする。この汁液はけっして美味なものではない。苦くて土臭い。

 

最近、韓国の業者がわが国への輸出用に「葛水(くずみず)」と名付けて、一七〇ミリリットルの缶入クズ根汁液を製造・販売し始めた。これは、クズ根の汁液をほぼ同量の水で割って、飲みやすいように甘味をつけた清涼飲料である。

 

クズ根の圧搾汁液には、植物エストロゲンの一種で、女性ホルモン様作用をもつイソフラボン類が大量に含まれている。だから、この汁液は体内カルシウムのコントロールに関与し、骨粗鬆症や更年期障害などの成人病の予防・治療に有効ではないかと考えている。なお、クズ粉を食べると女性のバストが豊かになるという風説が一部で流布されているのは、きっとクズ根の植物エストロゲン含量が高いからなのだろう。

 

神戸大学名誉教授 津川兵衛