2020年7月26日に山梨日日新聞で「葛の本」をご紹介いただきました。

 

図書館司書が薦める

こんな時この一冊

葛の魅力を楽しみたいなら

井上天極堂・監修

『葛の本 Ⅰnoue Tengyokudo 150th Anniversary』(金壽堂出版)

 

蒸し暑い夏の日に食べる、ひんやり冷やした葛きりは、つるんとした食感とすっきりとした喉ごしが楽しい。材料となる本葛粉は、古来より薬用として、また、江戸時代は飢餓の備えとしても用いられたそうだ。食材以外では、繊維は葛布、つるは工芸品などにも活用されている。

 

本書は、古くから身近に自生する葛にまつわる歴史やその効用をはじめ、家庭でも手軽に作れる本葛粉を使ったアイデアのレシピを多数紹介し、現代のライフスタイルにも活用できる葛の魅力を、余すことなく教えてくれる。

秋の七草としても親しまれているが、近年の研究から葛に含まれる栄養素は、健康面からも注目されているそうだ。

 

また、全国の葛の産地へ足を運び、技術の継承と地域ブランドに取り組む人々を紹介している。製法から商品化に至るまで、ものづくりに対する真摯な姿勢が語られ、伝統食材として培われてきた歴史の重みも味わえる一冊だ。

(山梨県立図書館司書 三枝恵美子)

 

 

◆葛の本は天極堂オンラインショップでもご購入いただけます。